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コラム

2015.02.10

モバイル・デバイス時代の企業サイト
〜アプリからレスポンシブ・デザインに集まる注目〜

IRウォッチャー・埼玉学園大学特任教授 米山徹幸

 いま、iPad やiPhoneなどのタブレット、スマホを手にする光景は、電車はもちろん職場の会議、工事現場などいたるところで目にする。

こうしたモバイル・デバイスからインターネット空間の情報にアクセスする時代が到来したのだ。実際、どうなっているのだろう。

欧州のIRコンサルタント大手KWデジタルが18カ国の96社(そのうち42%はFTヨーロッパ500の採用企業) にアンケートした「コーポレート・ウェブマネジャーズ2014」が、 (http://www.comprend.com/Documents/KW-Digital-Web-Management-Report-2014.pdf) 企業ウェブサイトへのアクセスでモバイル・デバイスが占める比率を、欧州企業15社で追っている。

この推移をみると、2011年に3%、2012年9%、2013年13%、そして2014年に25%である。3年間に8倍増の勢いだ。
自社サイトの75%、レスポンシブ・デザインで当然、各社もこうしたトレンドに対応する。
具体的にはレスポンシブ・デザインやウェブ・アプリの採用である。

もちろん、どちらかを選ぶやり方もあれば、この2つとも同時に採用している企業もある。 レスポンシブ・デザインはさまざまな機種のモバイル・デバイスのスクリーン・サイズに適応して、最適な状態での表示や対応を可能にする。

回答のあった96社のうち37%がレスポンシブ・デザインで自社サイトを作成し、さらに38%が2014年内に採用予定だという。

つまり、2014年末に75%の企業サイトでレスポンシブ・デザインの仕様になる。4社に3社だ。2012年は100社に1社だけだった。わずか2年前のことだ。
ウェブ・アプリは、モバイル・デバイス向けに開発されソフトウェアで、 アップルのアップル・ストアやグーグル・プレイにアクセスすれば、100万を超すアイコンが見つかる。
とりたてて説明もいらないだろう。採用する企業は2012年に29%、2013年が38%で多かった。それが今回の調査では39%だった。前年から横ばいだといっていい。

その理由は調査によると、以下の4つが挙がった。
@自社アプリに自社サイトとはちがう効用がいまひとつ不明であり
A自社アプリの利用やダウンロードが低調である
Bタブレットやスマホの画面での自社サイトのユーザビリティがレスポンシブ・デザインで改善している
Cアプリは「あれば結構なことだ」が、だからといって「なくてなならない」ものではない

こうした事情もあってだろう。
回答者が挙げる最優先の課題としての順位ランキングでアプリは14%で12番目だった。
他方、レスポンシブ・デザインは57%で全体の2番目。トップはコンテンツの構成で60%だった。

IR担当者のベストプラクティスに各社のIR情報も、モバイル・デバイス時代を迎えている。
機関投資家の68%が、一日中、こうしたモバイル・デバイスでIR関連情報を入手しているという米IRコンサル大手IRappの調査もある。
(http://www.thecommsapp.com/mobile-usage-by-the-institutional-investor-2014-survey)
同社のJ・コーエンCEO(最高経営責任者)は、IR有力誌IRマガジン電子版(2014年9月11日付)に寄稿して、
「この数字は間違いなく増えていく。投資家から御社のモバイル・デバイスにIR関連のコンテンツがないのはどうしてなのかと問われる前に、 IR担当者がモバイル戦略の構築に着手することが重要です」と語り、
「今後も投資家の仕事は、まずます、こうしたモバイル・デバイスに大きく左右されることは疑問の余地がない」と指摘する。

そして「モバイルのIR戦略をいま用意するのか、あるいは1つのグッド・オプションとして最後まで取っておくのか。 どちらにしても、IR活動で、やらなければならないベストプラクティスである」と続けた。

これは、日本企業のIR担当者にも当てはまるアドバイスだと思うのだが、どうだろう。




ライタープロフィール

米山 徹幸 (よねやま てつゆき)
IRウォッチャー・埼玉学園大学特任教授、全米IR協会(NIRI)会員。
埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授。主な著書に「大買収時代の企業情報」(朝日新聞社)、 「21世紀の企業情報開示―欧米市場におけるIR活動の展開と課題」(社会評論社)など。

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