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コラム

2015.08.12

「マーケティング」と「報道」をつなぐ戦略PR
広告の「排除」からPR発想による「つながり」へ

本田哲也 / ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長

 いわゆるステマ(ステルスマーケティング)やノンクレ(ノンクレジット広告記事)の問題がなかなか鎮火しない。

先日は、「いよいよヤフーが排除に動いた」と大きな話題となった。
排除宣言との関係はともかく、実際にヤフーは「Yahoo!ニュース」の一部のニュース提供社との契約を解除した。

この手の話はここ2−3年続いているわけだが、今年の3月にJIAA(一般社団法人 インターネット広告推進協議会)がネイティブ広告の推奨規定を策定してから、 よりすったもんだが具体化してきている印象だ。

要は(大きなマーケットとなる)ネイティブ広告の定義の問題であり、さらにその上位概念にはブランドジャーナリズム (http://japan.cnet.com/marketers/news/35043240/) という考え方がある。

つまるところ、どうしたら企業は生活者や世の中と「自然に」つながれるか、受け入れてもらえるか、ということである。

ブランドや商品の良さを打ち出しながら、だ(ここが難しいわけだが)。

ところで、「戦略PRとは、『マーケティング』と『報道』をつなぐプロセスである」とある講演会で話し、 ついでにソーシャルメディアでもつぶやいたところ、意外にもけっこうな反響があった。

企業の営利活動であるマーケティングと、報道という社会システムを成立させているジャーナリズム。

このふたつは異なる目的のもと、異なる人種が従事し、互いにあまり交わることなく存在してきた。

マーケティングは近代経営を代表する概念であり、ジャーナリズムもまた、近代社会になくてはならないファンクション(機能)だ。
これをつなげるところに、戦略PRの本質的な価値がある。
「商品の広告をメディアに出稿する」という「取引」を超えた価値を生み出して、はじめてPRの成功だと言えるのだ。

番組や記事によるPR露出、それを見てたくさんの人が動く
――こうした成果は結果論である
(もちろん企業が求めるのは結果なわけだけれど)。

本質的な成果は、ブランドや商品と社会を結びつけたこと、商品の持つ社会的なポテンシャルに気づけたこと、だ。

そして、このつながりこそが、「新しい時代のプロセス」なんじゃないか。

ブランドジャーナリズムしかり、ソーシャルメディアによる高度な情報社会を背景に、 マーケティングもジャーナリズムも従来の姿を変えようとしている。
これは世界的な潮流だ。
日本におけるステマやノンクレの騒動を見ていると、潜在的にネガティブなパワーが増幅しているようで気にかかる。

もちろん、排除されるべき、撲滅されるべき対象はあるだろう。
そもそも企業や読者のリテラシーだって試されている。

しかし、この「新しいプロセス」は、本来メディアにとっても企業にとっても生活者にとっても、 みんなに有益な未来を示唆しているはずだ。近未来の情報消費の姿だ。

「安価な広告」に始まり「空気をつくる」まで、PRもいろいろ言われてきた。
「(メディアを)買うのが広告。買わないがPR」という線引きも、いよいよ意味がなくなってきた。

戦術としてではなく発想としての戦略PR、Public Relationsが、これまで以上に必要とされていくだろう。




ライタープロフィール

本田哲也(ほんだてつや)
ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長
フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー
1970年生まれ。セガの海外事業部を経て1999年、フライシュマン・ヒラード日本法人に入社。 2006年、グループ内起業でブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。 2009年に『戦略PR』(アスキー新書)を上梓し、広告業界にPRブームを巻き起こす。
P&G、花王、ユニリーバ、アディダス、サントリー、トヨタ、資生堂など国内外の大手顧客への戦略PR実績多数。

著書に『その1人が30万人を動かす!』(東洋経済新報社)、『ソーシャルインフルエンス』(アスキーメディアワークス)など。
最新刊『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売2ヶ月で5万部を超えるベストセラーに。
2015年2月からは公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)マーケティング委員会の委員も務める。
アドテックトーキョー、カンヌライオンズ2015公式スピーカー。世界的なアワード『PRWeek Awards 2015』にて「PR Professional of the Year」を受賞。

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