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コラム

「すかいらーくレストランツ ごちガスト」のストーリー

2018年12月20日   
川上徹也

企業が生活者とコミュニケーションしていくには、何よりも「ストーリー」が重要です。
この場合の「ストーリー」とは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。


株式会社すかいらーくレストランツが運営する国内最大のファミリーレストランチェーン「ガスト」が実施したキャンペーン「ごちガスト」には、生活者の心を動かす「ストーリー」がありました。


「ごちガスト」とは、名前のとおり「ガスト」が「20組に1組の割合」で飲食費をご馳走してくれるというキャンペーンです。2018年7月19日よりガスト店頭で実施されました。


無料のスマートフォン専用アプリ「すかいらーくアプリ」をインストールし、アプリ内の“挑戦券”を提示すると、レジにあるタブレットでスロットに挑戦できます。
そして“当たり”が出れば、その場で伝票の会計が無料になるという仕組みです。
1組につき1回のみ挑戦可能で、無料になるのは最大10万円(税込)まで。


このキャンペーンはネットで話題になりました。
本来は9月5日で終了する予定でしたが、「ガストの懐にはまだ若干の余裕があります」ということで9月26日まで延長、姉妹店のステーキガストも参入することになりました。


では、なぜこのキャンペーンは多くの生活者から支持されたのでしょうか?


まず、キャンペーンの仕組みが単純明快でわかりやすいことがあげられます。
「ごちガスト」というネーミングも秀逸です。これにより「ガストがご馳走してくれる」という擬人化に成功しています。
20組に1組という確率も当たりやすそうに感じますし、スロットで当たりがわかるというエンターテインメント性があったことも支持された理由でしょう。


ガスト側にとってもメリットは大きかったはずです。
「20人に1人が無料」ということは、大まかに全体でならすと、割引率は約5パーセント程度になると想定されます。
その程度の割引だと通常ほとんど反応がないのが一般的です。


しかし、無料というインパクトによりネットで話題になったことで、多くの生活者に興味をもってもらえました。また多くのお客様がスロットに参加するために、専用アプリをダウンロードしてくれたことも大きな成果と言えるでしょう。


「購入されたお客様の何人かに1人が無料になる」というキャンペーンのアイデア自体は、それほど珍しいものではありません。
過去に家電量販店などでも実施されたことがある手法です。


ただこのように、わかりやすいネーミングやエンターテインメント性を付加することで、ストーリー性を感じるようになります。
その結果、お客様の感情が揺さぶられ参加したくなったのでしょう。


このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。
あなたの会社のコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?


Profileライタープロフィール

川上徹也(かわかみ てつや)

広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。最近は広告制作に留まらず、「ストーリーブランディング」の第一人者として、様々な企業のコミュニケーション戦略をサポートしている。最新刊は、『自分マーケティング~一点突破で「その他大勢」から抜け出す』(祥伝社新書)

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