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「亀田の柿の種 『当たり前を疑え! 国民投票』 」のストーリー

2019年12月18日   
川上徹也

企業が生活者とコミュニケーションしていくには、何よりも「ストーリー」が重要です。
この場合の「ストーリー」とは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。


「亀田の柿の種」は、亀田製菓が1966年から発売する53年の伝統があるロングセラーです。
70年代後半以降、唐がらしの辛味をきかせたカキノキの種子の形をした醤油味のあられと、むき身のピーナッツが6:4の黄金比率(重量比)で配合されていました。


しかし時代の変化と共に、以前の「ビールなどお酒のおつまみ」から最近は「おやつ」へと利用シーンが変化していました。


そこで亀田製菓は、「亀田の柿の種」のベストの比率について生活者の声を聞き、場合によっては比率も見直すとして投票を募ることを決定。


2019年 10月1日から11月27日にかけて、「私、亀田を変えたいの。キャンペーン『当たり前を疑え! 国民投票』」を実施したのです。


そして「柿の種」と「ピーナッツ」10対0から0対10まで、計11択の中からベストと思う比率を、ツイッターやLINE、はがきから応募してもらいました。


1位を獲得した比率は「7:3」で、投票数は7万5598票(29.5%)。
これまでの比率「6:4」は、4万5693票(17.9%)で第3位にとどまりました。


この結果を受け、亀田製菓は、賞味期限や保存方法等、様々な検討事項をクリアした上で、2020年1月に新しい比率などを公開する予定です。


では、なぜこのキャンペーンは多くの生活者から支持されたのでしょうか?


「亀田の柿の種」は、多くの人が一度は食べたことがあるであろう定番商品です。
さらに、特にピーナッツに関しては好みが分かれるため、「もっと少なくてもいい」と人がいれば、「もっと多くてもいい」という人もいました。


自分たちの一票が、そんな商品の比率変更に影響を与えるかもしれないという「ストーリー」が参加意識を高めたことは間違いありません。
ツイッターやLINEで気軽に応募できるのもハードルを下げています。


また応募者から抽選で「200g亀田の柿の種6袋詰10年分」を10名様にプレゼント(合計100年分)という賞品もインパクトがありました。
もちろん、マツコデラックスを起用したテレビCMの後押しもあったでしょう。


このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。
あなたの会社のコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?


Profileライタープロフィール

川上徹也(かわかみ てつや)

広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。最近は広告制作に留まらず、「ストーリーブランディング」の第一人者として、様々な企業のコミュニケーション戦略をサポートしている。最新刊は、『川上から始めよ 』(ちくま新書)

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