2020年、ユーザ・アイデンティティにフォーカスすべき理由とは?
2020年03月26日
Index Exchange Japan(株) 代表取締役社長 香川晴代
アドテクノロジーは、競争や変遷の激しい業界です。
このエコシステムに存在する独立系プロバイダーは、バイサイドかセルサイドかにかかわらず、常に広告業界のサプライチェーンを変革、最適化し、業界向けにアドテクノロジーへの理解度を高めようと取り組み、しのぎを削っています。
昨今、GDPRやCCPAといったユーザの個人情報保護法についての議論が不可欠です。
日本国内であれ、海外のどこかの国であれ、ネット上でコンテンツを読もうとすると壁にぶつかります。パーソナライズ広告を受け取るために同意を求めてくる壁です。
この壁の存在はある意味、この業界を根底から揺るがすものです。
しかしながら、ユーザへの同意確認は、ユーザから信頼を得る手段であると共に、包括的なユーザ・アイデンティティを形成することにつながります。
日本におけるユーザ・アイデンティティへの取り組みは、始まってまだ日が浅いものの、グーグルがサードパーティCookieの死を発表したこともあり、アイデンティティの活用は、早期に現実のものとなりそうです。
実は、広告業界エコシステムに存在する独立系企業は、ユーザ・アイデンティティ、つまり、あるユーザがどんな人物か誰か?を知るの手がかりとなる情報を持っています。
アドエクスチェンジ、DSP、プラットフォーム、デバイスが個々に、ユーザ・アイデンティティの情報を部分的に持ち、どんな人かを把握するために、少しずつ貢献しています。
ただし、ユーザ・アイデンティティの概念は、もっと成熟する必要があります。
そうすれば、ウォールドガーデンの外にある”オープン・インターネット”はマーケターにとって価値あるものとしてあり続けると考えます。
ユーザ・アイデンティティは「協力」なくしては、実現できません。
つまり、パブリッシャー、エージェンシー、テクノロジ・パートナー企業の協力によって、広告ビジネスにおける機会均等が実現し、ユーザ・アイデンティティが持つ可能性を最大限に活かすことができるのです。
この数か月で弊社はユーザ・アイデンティティを格段に進歩させてきました。
The Trade Desk、LiveRamp、電通イージスネットワーク傘下である Merkle の M1 とのコラボレーションのおかげもあり、弊社では約99%のマッチレートを実現しています。
つまり、広告主はウォールド・ガーデンの外部に存在するターゲットグループを、確実に見つけだすことができるということです。
それでも、まだ課題は残っています。
ユーザ・アイデンティティの一部の情報を、これはまるでパズルのピースのようなものですが、各社が自社内に抱えて持っていることが多いのが現状です。
もし、広告ビジネスにおける機会均等を実現させたいと共に願うなら、このパズルを共に組立て、エゴを捨ててより大きなゴールの達成を目指すべきです。
2020年の業界のフォーカスであるユーザ・アイデンティティが、まさにこのパートナーシップの構築によって実現できるよう、期待しています。