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withコロナ時代にファンを産み出すストーリーとは?

2020年6月18日   
川上徹也

企業が生活者とコミュニケーションしていくには、何よりも「ストーリー」が重要です。
この場合の「ストーリー」とは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。


ここ数カ月で世の中の状況は大きく変わりました。言うまでもなくコロナウイルスによるものです。


多くの業種が影響を受け、大変な事態になっています。特に観光業は大きな被害を受けている会社も多いでしょう。


そんなwithコロナ時代だからこそ、ファンを産み出すたそのストーリーづくりが重要です。今回は香川県の琴平バスが実施している「おうちでオンラインバスツアー」を紹介します。


ひと言でいうと「オンライン会議アプリZoomなどを使った仮想バス旅」なのですが、これがなかなか楽しそうです。


ツアー内ではバスガイドが参加者と「自己紹介」や「クイズ」などでコミュニケーションをとります。もちろん途中の風景等もバーチャルで楽しめます。
目的地に着くと、現地ガイドがライブ中継を行い、動画とリアルタイムの解説によって、観光地にいるような臨場感 を演出してくれます。


第一弾の「島根県石見神楽鑑賞ツアー」では、実際の石見神楽が現地ガイドの解説付きで鑑賞できます。
特に秀逸な仕組みは、ツアー参加者へ事前に「旅先の食べ物やお酒」が「旅のしおり」とともにクール宅配便で送られてくること。


これによって、一緒に食事タイムも演出できますし、ツアー料金の単価を上げることも可能になります。
またツアーの途中で現地のお土産店に立ち寄り、ガイドお勧めの食べ物やおみやげを買ったり送ったりすることもできるそうです。


「おうちでオンラインバスツアー」は現在はモニター価格ということもあり早々に満席になることが多いです。
また多くのメディアで紹介されるなど大きな反響がありました。


では、なぜこのサービスは注目を浴びたのでしょう?
単に今バス旅行ができないからサービスを考えただけではなく、そこに「大義」というストーリーがあったことが大きな要因です。


「おうちでオンラインバスツアー」はシニア層をターゲットにして企画されました。
参加者はバスガイドはもとより他の参加者たちとのやりとりを通じて旅行気分を楽しめます。


このような楽しい体験をきっかけにして、シニア層にオンラインサービスへの抵抗感をなくしてほしいと考えた企画なのです。


現状では利益は微々たるものかもしれませんが、将来に向けての大きな布石になる取り組みです。
このツアーを通じて、琴平バスやバスガイドのファンになり、コロナ収束後にリアルバスツアーに参加してくれるかもしれません。


また高齢や身体が不自由等でリアルなバスツアーに参加できない方にとっては、コロナ収束後もぜひ続けてほしいサービスです。


リアルなバス旅に加えてバーチャルなバス旅のノウハウを得たことは、会社にとっても大きな財産になるでしょう。
利用者にとってもリアルとバーチャルという選択の幅が広がることはうれしいことです。


このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。
あなたの会社のコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?


Profileライタープロフィール

川上徹也(かわかみ てつや)

広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。最近は広告制作に留まらず、「ストーリーブランディング」の第一人者として、様々な企業のコミュニケーション戦略をサポートしている。最新刊は、『臆病ネコの文章教室』(SBクリエイティブ)

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